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政策・提言

■平成24年第2回定例会 (2012.06.27)


◯議長
 日程第二を議題といたします。
 前日に引き続き、一般質問を行います。
 初めに、十六番二島豊司議員。
  〔十六番(二島豊司君)登壇、拍手〕

●十六番(二島豊司君)
 自民党議員団の二島豊司です。平成二十四年第二回港区議会定例会にあたり、武井区長、高橋教育長にご質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私たち自民党議員団は、去る五月八日から九日にかけて、宮城県気仙沼市、同女川町を視察してまいりました。気仙沼市では仮設の復興商店会などを視察し、それぞれご自身が被災者でありながら力を合わせて復興への道を歩まれる皆さんの熱気を感じることができました。その一方で、打ち上げられた大型船がそのままの姿で残されるなど、震災後一年二カ月が経過したにもかかわらず、思うように復興が進まないことに対する被災地の皆さんの疲労感、焦燥感も身近に感じてまいりました。
 震災時、気仙沼は地震、津波、そして火災と、まさに三重苦に見舞われ、町じゅうのあちらこちらに焼け焦げた跡がいまだ生々しく残されていました。階段の中ほどまで赤くさびついた歩道橋の際では、そこを最終ラインと定め、それ以上の市街地の延焼を食いとめるため、東京消防庁の皆さんがまさに必死の消火活動を行ったそうです。その献身的な活動への感謝の言葉を被災者の方から伺い、大変心強く、誇らしく感じた次第であります。
 火災の原因は、地震や津波によってタンクから漏れ出した船舶燃料でした。昨日、議論がされていましたが、多くの方々に希望をもたらす炎は、かすかに残された希望さえも焼き尽くす炎にもなり得ます。検討を進められるにあたっては、あの日、気仙沼で起こった出来事にもしっかりと目を向けていただきたいと思います。現場を目にした者として切に願うものでございます。
 続いて訪れました女川町では、廃棄物選別処理施設を視察いたしました。港清掃工場でも受け入れを行っている災害廃棄物について、放射性物質が飛散するのではないかと懸念される声も寄せられていたことから、選別処理工程の様子や放射能のチェック体制が何重にもわたり徹底されている様子を直接確認してまいりました。震災後一年以上が経過した被災地を訪れてみて、災害は現在もなお進行中であることを改めて認識するとともに、瓦れきの受け入れを含め、長期的な被災地支援の必要性を痛感してまいりました。皆様におかれましても、被災地の現状へのご理解を心からお願いするものであります。

 では、質問に入らせていただきます。
 初めに、地方分権と港区の将来像についてお伺いいたします。
 まず、現状認識と今後に向けた具体策についてです。「増える富裕層、潤う財政」、ご存じの方も多いと思いますが、港区長選挙を目前に控えた今月の初め、読売新聞朝刊の「23区再考」というコラムで組まれた特集「港区長選を前に」の見出しのフレーズです。記事の内容については、特段目新しいテーマを論じているものでもありませんし、バイアスのかかった内容でありますので、ここで取り上げるものではありません。「潤う財政」「豊かすぎる基礎自治体」「ひとり勝ち」といった表現が、当然として受け入れられていること、そして、少なくともここ数年、このような「港区富裕論」が変わることなく主張され続けている点について、区の認識が周囲と乖離してしまっているのではないかと私は危惧いたしております。

 まず、「豊かすぎる自治体」「ひとり勝ち」といった言葉が使われ続けるこの状況をどのようにとらえておられますか。これまでにも繰り返し問われていることですが、改めてお伺いさせていただきます。
 実際に港区政にかかわる当事者がどのように認識していようとも、多くの方々、特に国、地方の行政にかかわる方々の間でも、港区は裕福な自治体であると認識されていることは疑いようのない現実です。これからますます分権が進み、税制も変わる。この先、流れの中で、この論調がますます勢いを増すことも可能性として否定はできません。港区行政に携わる方々には、この状況をぜひ客観的にご認識いただきたいと思いますし、そこに誤解やずれがあれば、それを修正する努力をぜひともしていただきたいと考えています。
 そこで、現在も活発に行われている全国各地の自治体との連携、これを推し進めながら、相手自治体に数値だけでははかることのできない港区の現状を理解していただく。同じ認識を持ってもらえる自治体が全国各地にあるならば、またその働きかけの段階で、職員の皆さんが第三者的な新しい視点に気づいた上で情報発信することができれば、港区に対する認識を大きく変えることができるかもしれません。さまざまな形でかかわりのある他の自治体との連携の上に、港区固有の事情を共有してもらえる、いわば仲間と言えるほどの信頼関係を構築していくことは、港区の置かれている立場を広く理解してもらうための有用な手だてと考えますが、いかがでしょうか。区長の見解をお伺いいたします。
 今、例に挙げたような対外的なことを含め、区内外の状況を的確に分析し、地の利に甘えることなく、港区を戦略的に経営していくためには、港区そのものを客観視することができ、縦割りにとらわれず、各部署を横断的に見ることのできる機能が求められると考えますが、いかがでしょうか。伺います。
 次に、きのうの質疑でも取り上げられていました、参画と協働の将来像についてです。

 施政方針の中でも、参画と協働をこれまでと同様、武井区長は引き続き強く打ち出されています。各総合支所の地道な活動もあり、区民参画・区民協働は、これまで参加された皆さんからは非常に理解を得、そして定着しているものと思います。一方、一部の区民の皆さんの献身的なまでの参画を得ている反面、参画される方が思うように拡大していかないことについては、これまで幾度となく議会でも取り上げられ、区としても大きな課題として認識されていたものと思います。
 さきの区長選挙において、前回選挙と比較して、得票率は大幅に向上し、投票率は低迷した。この結果は区民参画の実態を如実に物語っているのではないでしょうか。これまでもさまざまな手だてを講じてきた上での現状を踏まえ、さらなる区民の参画と協働を得るために、どのような具体策をお考えでしょうか、お伺いいたします。

 続いて、事務執行適正管理委員会が果たすべき役割についてお伺いいたします。
 不適正事務の再発、その後の定期監査や包括外部監査においても事務執行に対する指摘及び件数も増加傾向にある。このような事態を受けて、適正な事務執行を継続的に担保する仕組みとして、事務執行適正管理委員会が設置されたことがさきの総務常任委員会に報告されました。その際の質疑において、過去の事務処理適正化調査委員会での再発防止の取り組みを全庁的に呼びかけたにもかかわらず、ミスが繰り返されてしまったことから、新たに設置されたこの委員会について、野村副区長からは大変強い言葉で、この委員会が区民サービスの質を高める前向きのチャレンジであると説明を受けました。区長ご自身の強い決意を持って設置されたものと思います。この委員会の果たすべき役割について、ご認識を伺います。

 次に、防災施策についてです。
 災害後の復旧・復興を迅速に進めるため、平時から専門性の高いスキルを有する団体との連携関係を構築していくことの必要性について伺います。
 災害が発生した際、迅速な復旧に着手することは、被災した方々の生活再建を行う上で極めて重要なことです。しかしながら、過去の大災害を振り返るまでもなく、一たび大規模な災害が発生すれば、行政もダメージを受け、応急の対応に追われ、大きく混乱します。港区防災対策基本条例にも、区長の責務として、復興対策、復興体制の確立がうたわれています。さきの大震災でも実際に多くの専門家が被災者からの相談窓口となり、ご活躍されたそうです。
 忘れてはならないのは、大規模災害が発生すれば、区の職員の方々も被災者となるということです。平常時から定期的に、今までの震災に実際に対応してきた専門家として知見が集積されている団体、また国家資格を有する各士業団体との連携を深め、ネットワークを構築し、災害時に行政で対応し切れない部分の機能をそれぞれ担っていただくことが、区民の不安を緩和し、早期の復旧・復興に資するものと考えますが、いかがでしょうか。区長の見解を伺います。

 続いて、共助の理念をより実効性の高いものとして機能させるための取り組みについて、要望させていただきます。
 千代田区では、町会への加入や町会長の推薦などを条件として求めた上で、マンションへの直接的な資器材購入助成やAED等の配備などを行っているとのことです。港区では、マンション管理組合への支援として防災アドバイザーの派遣などは実施されていますが、千代田区のようにもう一歩踏み込んだ助成措置の創設をぜひとも要望したいと思います。
 現在、町会や自治会は、加入率の低迷、メンバーの高齢化などの課題を抱え、コミュニティ構築支援への取り組みは政策創造研究所作成のデータ集にも最初に掲げられています。町会・自治会等の地域コミュニティへのかかわりが希薄と言われるマンションなどの共同住宅に住む区民の方々に防災をテーマとして地域コミュニティの存在を意識してもらいつつ、共助の理念をより実効性の高い地域防災力の向上へと結実させるために、地域とのつながりを誘導しながら、マンション向けの支援策を強化することは大変大きな意義のあることと考えます。新たな仕組みづくりに向け、ぜひとも研究を深めていただきますことをお願いいたします。

 次に、「人にやさしい環境未来都市みなと構想」についてです。
 昨年、内閣官房で募集した環境未来都市構想。港区は九社の事業者と共同提案を行い、環境防災面で高い評価を受けたとのことですが、結果、選定されませんでした。選定された他の提案について詳細が公表されていますが、被災地以外で選定された五つの提案は、それぞれの町や市の特色が前面に出されており、さすが、なるほどと感じさせられるものでありました。そして、それらは、内容はもちろんのこと、提案書からにじみ出る気迫、ハングリーさ、何が何でも是が非でも選ばれてみせるという意志の部分、これははるかに港区のそれを凌駕しています。次回チャレンジする機会があるとすれば、そのあたりが一番の課題ではないかというのが私の率直な感想であります。
 一方で、実際に港区が示したスマートエネルギーネットワークの構築は、人口の集中する大都市部でのBCP対応を踏まえた新たなまちづくりの形として、例えばアジアの新興国など、国の内外を問わず普及、拡大し得るものとして、今後とも、国の協力も得ながら、さまざまに実証が重ねられるべきものと考えています。
 既に個々の事業者が取り組んでいる事例をもとに、地域全体を見据え、いかに環境負荷を低減し、かつ防災性を向上させていくか。提案に示された二〇五〇年の港区のまちの姿を見据え、港区が自治体として果たさなくてはならない役割はとても大きなものがあると考えます。この構想に基づき、港区として強い意志を持って事業者を誘導し、リーダーシップを発揮してまちづくりの姿を示していただきたいと考えますが、今後、国に対しどのように働きかけを行っていくのか。また、事業者をどのように誘導されていく考えか、あわせてお伺いいたします。

 次に、安心できる周産期・小児医療体制の構築についてです。
 芝浦の地で平成二十六年度の開設を目指し、新愛育病院の建設工事が着工いたしました。新病院も総合周産期母子医療センターとして、芝浦エリア、港区、さらに広く周辺地域の周産期医療の拠点病院として、あわせて小児救急体制の整備、総合女性内科の設置など、極めて専門性の高い医療が提供されるということで、早くも大きな期待を集めています。区は、誘致に際し、NICU・PICUの設置を求め、それにより病院建設に際しては多額の区費を投じ、用地貸付料の減額など支援策も講じられることになります。
 救急医療については、初期救急を区市町村が、二次救急を都道府県が本来的には整備体制を担うこととなっています。にもかかわらず、今回、区長が愛育病院を通じて周産期や小児の高次救急医療というリスクの高い困難な領域にあえてコミットしていくという決断をされた以上、区として、愛育病院を支援する姿勢をもっと強く打ち出すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、これまでも行われてきたこととは思いますが、港区内での周産期・小児医療の連携体制の確立、医療面からの子育て支援、これらについて、他の病院、医師会など関係者との調整を含め、愛育病院に果たしていただく役割が引き続き大きなものであると考えます。これまでの成果を踏まえ、限られた医療資源、変動する可能性の高い医療ニーズなど、これらに柔軟に対応しつつ、長期的な視点で愛育病院がその役割をしっかりと果たせるよう、区と密接に連携していくことが重要と考えます。区長の見解をお伺いいたします。

 次に、魅力あるまちづくりについてです。
 そこに住まう区民の参画を得て、その思いがまちづくりに反映され、結果として魅力あるまちづくりが進められることが理想であると考えます。昨日、我が会派の池田議員の代表質問にもありましたとおり、区民の皆さんに向けて、自分自身の住む地域のまちづくりに参画できる港区まちづくり条例という仕組みがあることについて、一層の周知が必要です。施政方針の中でも述べられているように、良質な都市空間と住環境を区民が主体となって創造し、継続・発展させていくために、必ずしも専門的な知識を持たない区民の皆さんを、高い専門性を持った区職員がバックアップしていくことが大変重要と考えます。今後の区民参画支援の方針についてお伺いいたします。
 一方で、さきに述べた区民が主体となって示したまちの姿と、調和のとれた区長ご自身が理想とするまちの姿を打ち出すことが必要ではないでしょうか。事業者は定められたルールの中でぎりぎりの知恵を絞り、新技術を開発、駆使し、いかに収益を上げるか。そのモチベーションが民間活力の根源です。しかし、時としてそれが近隣とのあつれきを生んだり、近所で愛された古木が切り倒されたりといった結果を生じさせてしまいます。乱開発を防止し、より魅力のある、地域全体として価値の高いまちづくりに向けて民間活力を適正に誘導するために、区長ご自身が考える魅力あるまちの姿とはどうようなものであるか。これをあらかじめ明確に示すことは大切なことであると考えますが、いかがでしょうか。ご意見を伺います。

 最後に、スポーカルについてです。
 総合型地域スポーツ・文化クラブ「スポーカル六本木」が設立されて六年目を迎えています。この間、他の中学校でも臨時的なスポーカル事業が開催されていますが、まだ次のスポーカルは立ち上がっていません。今後、第二弾、第三弾を設立する際は、五年間積み重ねられたスポーカル六本木での事業も踏まえ、各中学校区がとても近接しているという港区の地域特性を考慮しつつ展開すべきと考えますが、スポーカルの今後の方向性についてお伺いいたします。  次に、スポーカルの各事業については、地域住民である高齢者、障害者への福祉サービスや子育て支援と親和性の高い要素も数多く含まれています。総合型地域スポーツ・文化クラブと名称に地域と入っているように、これまで築いてきた地域と各総合支所との絆を生かしていくこと、その上で支援部との連携も密にすることで、教育委員会事務局が一手にその任を負うよりも、より一層高い効果が得られるのではないかと感じています。文部科学省が示す総合型地域スポーツクラブ事業の趣旨を引くまでもなく、庁内連携が不可欠と考えますが、教育長のご認識を伺います。

 以上で質問を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。
  〔区長(武井雅昭君)登壇〕

◯区長
 ただいまの自民党議員団の二島豊司議員のご質問に順次お答えいたします。

 最初に、地方分権と港区の将来像についてのお尋ねです。
 まず、区財政の現状認識についてです。区はかつてバブル経済崩壊後の未曾有の財政危機に直面し、平成九年一月に策定した財政構造改革指針のもと、三年間でおよそ百億円の経常的経費を削減する行財政改革を断行いたしました。さらに、常に長期的展望に立った計画的な財政運営を行うため、人件費など経常経費の削減など、不断の行財政改革に取り組むとともに、過去に発行した区債の繰上償還や、将来の財政需要に備えて計画的に基金を積み立てるなど、財政の力を蓄えてきました。こうした努力により、平成二十二年度における区の財政の弾力性を示す指標である経常収支比率は七三・二%となっており、そのほかの指標を見ても区の財政は適正な水準を維持しております。
 しかしながら、特別区民税収入は、長引く景気低迷の影響を受け、平成二十一年度から四年連続して減収となる見込みです。また、歳出面においても、今後の高齢者人口の増加に伴う高齢者福祉需要や、待機児童解消のための保育需要、学校改築への備え、区有施設整備のための用地取得に多額の経費がかかることなど、都心区特有の需要を抱えており、その課題解決に向けて、積極的に取り組んでいく必要があります。こうしたことから、将来にわたり港区ならではの質の高いサービスを安定的に提供していくためには、区の財政状況は、決して楽観できる状況にはないと考えております。

 次に、他の自治体との連携についてのお尋ねです。
 現在、区では商店街振興や環境施策をはじめ、さまざまな分野で自治体間の連携・協力を進めております。このような施策上の連携を通じて、お互いの自治体特有の状況などを共有することは相互理解を深め、信頼関係を築く上でも意義のあるものと考えております。また、港区は経常収支比率で示されている数値などから、全国的に財政状況が良好であるとの認識を持たれておりますが、都区制度の仕組みや都心区特有の課題、実情については余り知られておりません。
 一般の市町村では歳入の大きな部分を占めます固定資産税や法人の住民税は、特別区税ではなく都税となっております。東京都が都税として徴収し、都と特別区に配分する仕組みとなっております。そうした中でも港区は、普通交付金が交付されていないため、主に区民税収入のみで区政運営を行っている状況です。また、都心区特有の事情であります用地の取得にけた違いの経費がかかることや、昼間人口や企業の集中、災害時の帰宅困難者への対応など多くの行政需要を抱えております。こうした状況、財政面でいいますと、特異な歳入の構造や歳出の特色などについて、全国の自治体に広く理解をいただけるよう、これからも努めてまいります。

 次に、戦略的な区政運営についてのお尋ねです。
 現在、基本計画の策定や予算編成をはじめ、政策創造研究所による全庁の課題に関するデータの集約等、企画経営部が全庁横断的な視点からの政策、事業などを有機的につなげる調整機能を果たしております。また、区民サービスの提供に際しては、総合支所を拠点として、区民生活のあらゆる場面における、一貫した横断的な行政サービスの提供を目指しております。今後とも、「区民とともに創る安全で安心できる港区」の実現に向けまして、私自身先頭に立ち、区全体を俯瞰し、各分野の施策を有機的につなげながら、先駆的な施策展開をさらに推進してまいります。

 次に、参画と協働の将来像についてのお尋ねです。
 私は、平成十八年に、より便利で、より身近に、より信頼される区役所を目指し、「区役所・支所改革」を実行し、総合支所制度の中で区民の皆さんとともに考え、行動する「参画と協働」の輪が着実に広がっています。平成二十二年には、区民参画の一層の推進のため、「区民参画手続ガイドライン」を策定し、区民の意見を区政に反映する仕組みを構築いたしました。今後、この仕組みの定着に努めてまいります。
 また、より多くの区民に区政への参画と協働に参加していただくために、本年三月に運用を開始しました新たなホームページでは、検索機能を強化するなど、区民が必要な情報を探しやすくするとともに、ツイッターやフェイスブックを活用して緊急情報を迅速に発信できるよう改善をいたしました。また、無作為で選んだ方に区政モニターへの参加を促進し、インターネットを活用したアンケート調査などの手法を用いて、幅広い区民の声を吸い上げ、参画と協働に取り組んでまいります。

 次に、事務執行適正管理委員会についてのお尋ねです。
 区はこれまで不適正な事務処理が生じた際、原因の究明と再発防止に取り組んでまいりましたが、その後も同種の不適正事案が発生しております。区民の区政に対する信頼を確保するためには、事務執行を正確かつ適正に行っていくことが必要です。そのため、副区長を委員長とした事務執行適正管理委員会を本年四月に設置し、事務執行過程が適正かどうかを総合的かつ継続的に検証していくことといたしました。委員会では、職員の基礎的事務処理能力の「底上げ」に向けた取り組みや、過去の不適正な事務処理事例を分析し、再発防止のみならず、事務執行改善等具体的な方策を検討しております。今後も、より一層区民の信頼確保と質の高い行政サービスの提供のため、継続的に取り組みを進めてまいります。

 次に、防災対策における専門家団体との連携についてのお尋ねです。
 東日本大震災の被災地では、被災直後から復旧までの間に、弁護士、税理士、建築士や設備士など、多くの専門家が被災者からのさまざまな相談に応じたり、罹災証明の発行に必要な建物被害認定調査などを担ったことにより、復旧が円滑に進んでいると聞いております。専門的な知見を有する方々の団体などと、平常時から連携しておくことは極めて重要であると認識しております。現在、区は、復興対策に取り組む際、特別法律相談へ弁護士を、また、建物相談へ建築士を派遣してもらえるよう、多くの団体と協定を締結しております。今後も、専門的な知見を有する方々の団体などとの連携をさらに深め、協定締結を含む、ネットワークづくりを積極的に進めてまいります。

 次に、人にやさしい環境未来都市みなと構想についてのお尋ねです。
 昨年度、区が国に応募した、人にやさしい環境未来都市みなと構想は、スマートエネルギーネットワークの構築による、防災性が高く低炭素のエネルギー供給の実現、超高齢化社会への対応など、安全で安心できる環境先進都市の実現を目指すものです。区の構想では国に対し、さまざまな規制緩和を求めるとともに、新たな政策を提言しております。規制緩和の一部については本年四月に実現いたしました。今後もさらに機会をとらえ、国に提言を行ってまいります。今後とも、国の動向も踏まえ、共同提案を行った民間事業者と連携しながら、環境未来都市の実現を目指し、区民とともに安全で安心できる港区の創出に努めてまいります。

 次に、安心できる周産期医療・小児医療体制の確立についてのお尋ねです。
 まず、愛育病院の支援についてです。区は、平成二十二年三月に母子愛育会と交わした「社会福祉法人恩賜財団母子愛育会附属愛育病院の移転・整備、運営に関する協定」に基づき、愛育病院への支援を行っております。また、区内の医療体制の整備に関し、病床の規制などのさまざまな制約がある中で、国や東京都に対し、母子医療施設整備等に係る支援策の充実について申し入れ、その一部を実現させるなど、愛育病院の施設整備を側面からも支援いたしました。
 あわせて、区独自の支援策として、愛育病院建設工事費の約四七%に当たる総額三十億三千六百万円を、病院の進捗状況に応じて補助することといたしております。さらに、愛育病院の安定的・継続的運営を支援するため、病院用地の貸付料を大幅に減額し、定期借地権設定契約を締結いたしました。今後も、芝浦港南地区をはじめ、港区内の子育て世代の増加に適切に対応するとともに、区内の周産期医療・小児医療体制の充実を図るため、愛育病院を支援してまいります。

 次に、周産期医療・小児医療連携における愛育病院の役割についてのお尋ねです。
 愛育病院は、総合周産期母子医療センターとして、地域医療へ貢献しております。移転後は、思春期から更年期までの幅広い女性医療に対応する総合女性内科の新たな設置や、小児集中治療管理室を有する小児二次救急医療、さらに災害時には小児を中心とした重篤患者の救命医療のほか、成人への初期対応も行うなどの機能がさらに充実されます。今後も愛育病院が地域の周産期医療・小児医療の中核的な役割を担う病院として、港区医師会、地域の医療機関等との連携・協力が果たせるよう、愛育病院との連携強化を図ってまいります。

 次に、魅力あるまちづくりについてのお尋ねです。
 まず、区民参画支援についてです。区は、港区まちづくり条例を平成十九年度に制定し、地域の方々が、地域特性に応じ自らの発意と合意に基づき行うまちづくりを支援することを制度化しました。地域の皆さんが自らまちづくりを進める上では、まちづくりの理念や地区まちづくりルールの策定等、専門的な知識が必要になります。このため、区は、地域の皆さんが自らまちづくりに取り組めるよう、職員によるまちづくりの相談、専門家の派遣、まちづくり活動に対する助成等、技術的、資金的な支援を行ってまいりました。今後とも、そうした支援を継続する中で、地域の皆さんのまちづくりをより一層支えるため、職員が自ら積極的にまちに入り、専門的視点での助言やまちづくりに必要な支援を行ってまいります。

 最後に、まちづくりの適正な誘導についてのお尋ねです。
 区は、港区まちづくりマスタープランで、人にやさしい良質な都市空間・居住環境を、皆で維持し、創造し、運営していくことを基本理念と定め、この理念の実現のため、やさしさとかがやきの生活都心を、まちの将来像とすることを広く示してまいりました。さらに、区有地の活用等によりまちづくりを進めていく地域や、まちづくりの機運が高まっている地域においては、住民・事業者・行政等が共有すべきまちの将来像をまちづくり構想やガイドラインの形で示し、民間活力を活用するとともに、区民や事業者のまちづくりを適正に指導・誘導しています。今後とも、これらの手法を継続し、まちづくりを適切に指導・誘導してまいります。
 よろしくご理解のほどお願いいたします。
 教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
  〔教育長(高橋良祐君)登壇〕

◯教育長(高橋良祐君)
 ただいまの自民党議員団の二島豊司議員のご質問に順次お答えいたします。

 最初に、スポーカルの今後の展開についてのお尋ねです。
 まず、今後の方向性についてです。総合型地域スポーツ・文化クラブ「スポーカル」は、スポーツや文化活動を通して、心身の健康や体力の維持向上を図り、幅広い年齢層の交流や地域のコミュニティを活性化することを目的としております。教育委員会では、平成十九年度に設立された「スポーカル六本木」について、クラブが地域で自主的・自立的な運営ができるよう活動の場の提供や事業のPRの支援を行ってまいりました。現在、地域のスポーツ推進委員と連携し、二地区目の設立に向けて準備を進めております。
 スポーカルの設立については、中学校区単位で各青少年対策地区委員会が、青少年の健全育成に関する活動を地域で幅広く行っていることや、スポーカルが小・中学校の施設を拠点に活動することから、これまで中学校区ごとに進めてまいりました。今後とも、おおむね中学校区ごとに一つのクラブの設立を目指し、支援を行ってまいります。

 最後に、総合支所等との連携についてのお尋ねです。
 スポーカル六本木では、地域住民が主体となって、種目や会員の獲得などクラブを自主的に運営し、幼児から高齢者まで参加が可能な多様な種目やレベルのスポーツ・文化活動に取り組んでおります。クラブの事業には、スポーツ推進委員や青少年委員など多くの地域の方がかかわっております。現在、二百十四名の会員が所属しており、六本木中、麻布小、南山小、東町小を活動拠点に、親子キッズテニス、サッカー、太極拳、フラワーアレンジメントなどの種目に、昨年度延べ八千四百五十二名の方が参加しております。
 クラブでは、スポーツ・文化活動を通して、地域における世代間を超えた交流や健康づくりを行っております。教育委員会では、さらにクラブが、地域で幅広い層の方が参加し、多種多様な活動ができるよう、総合支所や支援部と連携し、必要な支援を行ってまいります。
 よろしくご理解のほどお願いいたします。


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