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政策・提言

■平成25年第2回定例会 (2013.06.05)


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◯議長
 日程第四を議題といたします。区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。最初に、十六番二島豊司議員。
  〔十六番(二島豊司君)登壇、拍手〕

●十六番(二島豊司君)
 平成二十五年第二回港区議会定例会にあたり、自由民主党議員団を代表して、武井区長、小池教育長に質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 昨日、サッカー日本代表、五大会連続となるワールドカップ出場が決定しました。偉業であります。来年開催される本大会においても、高い技術、強いフィジカルとメンタルを兼ね備えた日本人選手たちが、サッカー王国ブラジルの地で日の丸を背負い縦横に活躍することを心から願うものであります。

 さて、内閣府は先月十六日、ことし一月から三月期のGDP実質成長率が前期比年率三・五%と、2四半期連続のプラスとなったことを発表しました。早期にデフレから脱却し、雇用と所得の増加を伴う経済成長を実現させるため、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、これら三本の矢に一体的に取り組むアベノミクスが着実にその成果をあらわしております。きょう午後には安倍首相自らが、成長戦略の実現により一人当たり所得を、現在の水準から百五十万円以上、十年後に増やすとの目標を掲げることを表明いたします。
 四年前、私たち自民党は都議会議員選挙に大敗し、続く衆議院選挙で政権の座を明け渡すことになりました。それから三年半を経て、昨年の十二月、衆議院選挙で再び政権を得るに至りましたが、それは前政権への失望から得られた勝利でした。目前に迫った東京都議会議員選挙、続く参議院選挙において、この半年間の政権運営の成果に対する都民、国民の評価が示されることになります。現政権の経済政策については、港区民にとっても必ずや好影響を及ぼすものである。そして、被災地の復興を加速させるものであると確信いたしております。これら二つの選挙を通じて、我々の政策を丁寧に区民の皆様に訴え、審判を仰いでまいる決意です。区政においても、この機を逸することなく、区内経済、区民福祉の向上に資する施策の充実が図られることを強く期待して、質問に入らせていただきます。

 初めに、今後の財政運営に関しての質問です。
 昨年度、平成二十四年度の特別区民税収入は、平成二十一年度から四年連続して減収が見込まれていましたが、最終補正後の区民税収入は、平成二十三年度決算と比較して十億円の増収となり、底打ちの様子が見て取れます。今年度はさらなる増収も見込まれており、景気の上昇傾向と相まって緩やかながら区財政にも明るい兆しが見えてまいりました。まず、今後の区財政の動向をどのように認識されているかお伺いいたします。

 続いて、予算編成過程の公開についての見解を伺います。
 現在、港区では、成立した予算の内容については、詳細な予算概要を作成し、またホームページ、広報みなとなどにより、区民への周知について大変丁寧に説明されていると感じています。一方、予算案が成案に至る過程については明らかにされておりません。予算は自治体運営の根幹です。ある事業について、所管課が現状のどの点に課題を見出し、それが査定の中でどのように評価され、誰の判断を経て成案化されるのか。予算編成過程を要求の段階から公表していくことによって自治体運営そのものの透明性が増すことで、自治体として説明責任を果たすことにもつながります。さらには、その各過程において、いかなる判断がなされたかを示すことで、当該事業を通じて区の政策意図がより明確になり、住民参画を推進することにもつながるのでないかと考えております。特に、重点施策や新規事業について、予算編成過程を公表することによって、より高い政策効果を得ることが期待できると考えますが、この点について区長の見解を伺います。

 続いて、事務事業評価制度の改善点と今後の活用策についての質問です。
 昨年度から本格実施された事務事業評価制度ですが、さきの予算特別委員会の質疑において、評価の対象外とすべき範囲、法律に基づく事務の取り扱いの再検討や再構築、継続という評価区分をよりわかりやすくするための整理などが課題として挙げられました。そして、時代の流れとともに効果が薄れた事業、目的を失った事業について廃止していくことは当然ですけれども、歳出削減を目指した政府の事業仕分けとは異なり、事務事業評価では拡充という対応も用意するほか、再構築について、結果として拡充につながるものも含まれているという答弁で、それまでの委員会資料や予算概要には制度の目的として記載されていた新規事業への財源捻出は本制度の目的ではないことが示されました。
 効果を検証する過程では、当然のことながら、当該事務事業の受益者となる区民との対話が求められてきます。効果のあらわれていない事業のどこに詰まりがあるのかを見極め、それを取り除くための方策を考え出す手段として事務事業評価制度を活用すべきものと考えています。昨年度の本格実施から見えてきた課題について、今年度、それらをどのように改善して事務事業評価制度を活用されていかれるのかお伺いいたします。
 ここまで、区財政の動向、予算編成過程の公開による政策意図の明確化、果たすべき説明責任、事務事業評価制度による政策効果の検証と改善、これらについて私自身の考えを述べてまいりましたが、それらを踏まえた上で、次の質問は先進的な施策を積極的に展開することについてです。
 最近のピークであった平成二十年度と今年度の当初予算を比較すると、特別区民税減収のギャップはいまだ八十七億円ほどありますので、安易な楽観論、これはとらの連携事業、自治体れるべきではないと考えています。一方で、確実に上向いてきている経済情勢に対する期待感をしっかりと捉え、国の実施する経済政策の効果があらわれるまでのタイムラグを埋めるため、機を逸することなく効果的な対応を実施していくことは、景気の回復をまだ実感できるところにまで至っていない大半の区民の生活や事業に資するものと考えます。区民生活に最も身近な基礎自治体である港区が、国の経済政策とも歩調を合わせて、機を逸することなく、区民生活や中小零細事業者の経営に資する積極的な施策を展開し、将来へとつながる先進的な施策にも果敢に挑戦すべきと考えますが、区長の見解を伺います。

 続いて、情報政策監(CIO補佐)の任用について質問します。
 今やICT技術をいかに効果的に活用していくかは、行政を運営する上においても大変重要なテーマとなっています。現在多くの区民はインターネットを利用し、区のホームページやソーシャルネットワークサービスから区政にかかわる情報を入手しています。区にとっては、日々の区民生活にまつわる情報の発信、そして、区民から発せられる意見を収集する際にも大きな効果を発揮してまいります。その他、無線LANの高速化、大容量化による通信環境の整備やスマートフォンとクラウドの可能性の追求など、日々進化し続けるICT技術にキャッチアップし、またそこに得られる効果とコストを比較し、最適な情報システム環境を構築することで、あらゆる分野にわたり、区民に対してこれまでの環境ではなし得なかった、より利便性の高い区政サービスを低廉なコストで提供できる可能性を秘めております。一方では、区が有するあらゆる形の個人情報に対して、そのデータを外部の攻撃から守る情報セキュリティの絶対的な確立も求められます。
 今年度から情報政策監が任用され、港区のICTに関する政策を統括する副区長がCIOとして政策判断を行う過程において、ICT分野の技術的側面から補佐及び助言・提言するとともに、区のICT全般にわたる助言・提言を行うことになります。今年度初めて外部から専門家を公募し、任用に至った情報政策監ですが、果たしていただく役割は極めて重いものがあると考えます。情報政策監に今後期待する役割について、区長のご認識をお伺いいたします。

 続いて、旧赤坂小学校跡地・周辺地区活用事業について質問します。
 これまで長きにわたり、その活用について検討が進められてきた旧赤坂小学校跡地の本格活用については、平成二十四年赤坂地区が抱える課題解決に役立てるため、隣接民有地と共同で定期借地権方式により大学を誘致することが決定し、公募・審査を経て、このたび共同事業三地権者の合意により、学校法人国際医療福祉大学を事業候補者として決定しました。国際医療福祉大学からは帰宅困難者受け入れスペースの確保、氷川山車の常設展示場所の確保、また、同大学の専門性を生かした区民対象講座の開設など、地域貢献に資する数多くの提案がなされたと聞いております。
 他の二地権者と共同で五十年余という長期の定期借地権を設定し大学に賃貸するという、これまでに例のない事業形態がとられていることでもありますので、地域、行政、地権者、そして大学が一体となって協力体制を構築し、知恵を出し合って、将来を見据えた取り組みがなされることを期待するものであります。当然のことながら、五十年の間には社会情勢や周辺環境も大きく様変わりし、地域の課題そのものが変化していくことになります。また、権利関係が変動する可能性も想定されます。旧赤坂小学校跡地に新たに誕生する大学が、その施設とともに、将来にわたって地域に愛され、有効に活用されるよう、区としても時代の変化に耐え得る柔軟な体制を構築していただくことを希望するものでありますが、区長のお考えを伺います。

 次に、子育て支援策を充実させることについてお伺いします。
 五月二十日、横浜市は、平成二十二年に千五百五十二名いた待機児童がことし四月一日の時点でゼロになったことを発表し、メディアを通じて大きく取り上げられました。マスコミ報道と実際の現場での認識とは多少ずれもあると聞いておりますが、視察で横浜市を訪れた安倍首相も高い評価をされたとのことです。待機児童の解消に至った要因は何点か挙げられておりますが、株式会社など民間企業の参入を促進したことが大きな要因として取り上げられています。
 港区では、既に株式会社による参入を進め、現在六園の保育園が運営されています。また、今後、新たに複数の株式会社による私立認可保育園の開園が予定されています。港区では、保育の質を維持しつつ保育園の整備を進め、今年度新たに七百二十一名の定員拡大を予定し、さらに今定例会には定員九十六名分の保育園を開設するための補正予算も提出されています。都心区がゆえの困難な状況のもとで、大幅な定員拡大を実現されたことについては高く評価されるものであると思っております。その上で来年度以降の展望についてお伺いいたします。
 今後、子ども・子育て関連三法に基づく支援新制度により、区が子ども・子育て支援の実施主体としての役割を担うことになります。子ども・子育て支援事業計画策定などのため、港区子ども・子育て会議を年度内にも発足させるための条例も提案されております。今後の待機児童の動向予測なども踏まえ、施設型給付はもちろん、在宅子育て家庭への支援策も充実・強化させて、あらゆる子育て家庭に向けて、そのニーズに応じた支援が行き届くよう、都心港区にふさわしい総合的な子育て支援体制が構築されることを要望いたします。

 次に、観光振興についてお伺いします。
 観光振興ビジョンにも記述のあるとおり、観光とはエンターテインメントです。つまり、行政が手がけるよりも、民間の発想、力を最大限活用した方がより大きな効果を得られる可能性が高いということになります。マスメディアにも取り上げられるような人々の耳目を引くインパクトのある観光資源の活用については、観光協会とその加盟社や、大規模商業施設、大手広告会社などビジネスとして仕掛けることのできる民間に任せてはいかがでしょうか。はやりは一瞬にして過ぎ去ってしまいますので、行政のスピード感では、そのときの流行をつかみ、多くの人を引きつける仕掛けづくりは困難であろうと思います。行政は裏方として、民間の活力をうまく地域振興に結びつけられるよう誘導する役割を担うべきではないでしょうか。
 他方、港区が行政として持つ強みを生かした部分で区が主導し、地域振興に資する観光振興策を考える必要があるのではないでしょうか。休日になると、特に季節のよいこの時期は、まち歩きの愛好家たちのグループによく行き会います。比較的高齢層にある皆さんは、健康志向と相まって港区を訪れ、都市と自然のコントラストや、ともすれば見過ごしてしまいそうな小さな記念碑、落語の舞台、歴史的由緒、偉人の墓所等々を求めて散策しております。
 魚らん商店会では、毎年お寺めぐりスタンプラリーを実施しています。これは商店会周辺の十二のお寺の協力を得てスタンプラリーをするものですが、ことし四月に実施されたスタンプラリーは、天候にも恵まれ、二百三十四名の方が参加されたとのことです。それぞれのお寺の伽藍やふすま、装飾品等だけではなく、そこここに小さなスポットが数多くあります。リピーターの方も多く、また、最近近くに引っ越ししてきた方が、家の周りを知るために家族で参加するといったケースもあると聞きました。
 総合支所制度によって得られた地域の皆さんとのつながりを活用し、地元でこそ知られている、小さいけれども光り輝くスポットを見出して、それらをうまく結びつけることで、地域の商店会や特色のある地場産業の振興、また、住んでいる方々に対し地域への愛着や誇りを醸成させることにつなげていく。漫然と観光振興をうたうだけではなく、目的を明確にし、めり張りのある振興策を講じることが必要ではないでしょうか。港区には底なしのコンテンツがあります。それらを余すことなく活用し、高いパフォーマンスを得るために、産業振興課と各総合支所とが連携できる観光に特化した担当を設置することなどもぜひ検討していただきたいと思います。明確な指針を掲げて、企業と区のそれぞれが役割を果たすことが求められると考えます。地域振興を主眼とした観光振興策について、区長の見解をお聞かせください。

 続いて、他自治体との連携について質問します。
 観光客は必ずしも港区という行政区を意識して観光に訪れるわけではありません。ゲームコンテンツを活用した東京タワーと東京スカイツリーの二大タワーを有する港区と墨田区との広域的な連携が好評を博した実績もありますが、今後も周辺の自治体とともに魅力ある観光スポットを提案することによって、観光客のニーズに応える工夫も必要ではないでしょうか。自治体の垣根を越えて、港区を含む周辺の観光スポットが連携・協力することで、より魅力ある観光施策が展開できると考えます。港区がリードし、他自治体と連携した観光振興策を進めることについて、区長の考えをお聞かせください。

 次に、港区の将来を見据えたまちづくりの進め方について、区長の考えをお伺いします。
 港区には他では決して見られることのない、個性あふれるさまざまな地域があり、それらはおのおのに豊かな表情を有しています。区内にあるそれぞれの地域の特性を反映した、きめ細やかなまちづくりを進める必要があると考えています。
 港区は、平成十九年十月にまちづくり条例を施行しました。同条例は、人に優しく、良質な都市空間及び居住環境の維持及び創造に資することを目的とするとうたい、また、区の責務として、区民に対して、まちづくりへの参画の機会の拡充を図るとともに、まちづくりに関する情報の提供及び知識の普及に努めるものとすると定めています。
 区長自身が理想と考える港区の姿を語り、その地域の魅力と価値とを将来にわたってより高めるために、各総合支所のまちづくり担当がきめ細かく区民、関係者の声を聞き、地域の理解と協力を得ながら協働して進めるまちづくりが理想であり、まちづくり条例の活用が基本となるのではないかと私は考えております。区長の目指す将来の港区の姿、そして、そこに至るためにとられるべき方法についてお伺いいたします。

 続いて、港区建築物の高さに関する基本的な方針(素案)見直しに関して、その方向性についてお伺いいたします。
 ことし二月、港区建築物の高さのルールに関する基本的な方針(素案)が示されました。説明会やパブリックコメントなどを通じて、素案の内容や周知方法について数多くのご意見が寄せられました。これらを受け、区民意見の内容を再度詳細に分析し、修正するため、当初平成二十六年度としていた運用開始時期を取り下げることがさきの建設常任委員会に報告されました。もとより、私たち自民党は、建築物の高さを制限することそのものについて反対するものではありません。ただし、高さを制限することによって得られるものを明確に示し、港区の中にあるさまざまな個性を有する個々の地域にとって、その地域全体の価値を高めるものでなくてはならないと考えています。そのためにも、さきに述べたように、何より地域住民の皆さんとのコミュニケーションがなくてはなりません。
 今回、素案がそのまま運用された場合に影響を受ける皆さんから、さまざまな懸念の声や不安の思いをお聞きしました。それは区にも届いているものと思います。今後、素案の見直しが行われるに際しては、届けられた意見に率直に耳を傾け、懸念や不安を払拭するための見直しとなることを望んでおります。港区建築物の高さに関する基本的方針(素案)見直しの方向性について、区長のご見解をお伺いいたします。

 続いて、港区の住宅政策についてお伺いします。
 平成二十一年三月に選定された第三次港区住宅基本計画の五年目の改定に向けての作業が進められております。かつて人口減少に悩まされた時期とは異なり、芝浦地区、港南地区をはじめ大規模な住宅の供給が増加し、都心回帰の志向の高まりにより、国全体では人口減少、少子化が叫ばれる中、人口は増加し、特に年少人口は著しい増加傾向を示しています。同時に、昼間人口も増加している港区の情勢を鑑み、住宅付置から生活利便施設への誘導を進めること、また、東日本大震災を経験し、首都直下型地震の発生も懸念される中、防災性向上は喫緊の課題であること、これも改めて認識いただき、老朽や旧耐震基準マンションの耐震化や更新を加速させるための促進策、木造住宅密集地域の整備促進など、現在の港区での住宅に係る課題の解決に資する視点が盛り込まれた改定となるよう十分に検討していただきたいと考えます。第三次港区住宅基本計画の改定に向け、区長の方針をお伺いいたします。

 最後に、港区が進める小中一貫教育について質問します。
 平成二十七年度に港区初の施設一体型小中一貫教育校が朝日中学校通学区域で開校することを契機として、港区全域で施設一体型、施設隣接型、カリキュラム連携型、それぞれの形態の小中一貫教育が実施されることになります。これまでであれば、小学校で身につけるべき学力が十分でないままに中学校に進学することで、苦手教科の克服がかなわなかった生徒に対して、七年生、八年生になっても引き続きその子どもの特性を知っている教員たちの目を届かせることができます。これは、小中一貫教育の大きなメリットの一つに掲げられています。のみ込みの早い子ども、先へ先へと進める子どもたちを伸ばしてあげることはもちろんですが、学力が伸び悩む子どもたちへのケア、小さいつまずきのゆえにその後おくれをとってしまう子どもたちに適切に指導できる環境の整備、これが義務教育を施す上で、教育委員、教育委員会事務局職員の皆さんに最も心を砕いていただきたい点であると考えております。今回のように新たな制度、これを導入、移行する場合には、現場の教員たちが児童・生徒とより深く心を通わせ合える環境整備のために、教育委員の皆さんはもちろん、教育委員会事務局職員一人ひとりは、常に学校現場を支えるサポート役に徹していただき、細やかな配慮をしていくことが必要になると考えています。
 そこで二点質問いたします。これまでの六・三制にとらわれない、四・三・二制へとかわる港区独自の小中一貫教育のカリキュラムであるMINATOカリキュラム、これについての特筆すべき点をお伺いいたします。
 また、港区の掲げる小中一貫教育の理念を日々教育現場で児童・生徒への授業に効果的にアウトプットするため、新規採用の教員はもちろんのこと、他市区から異動してきた教員、そしてこれまでも港区内の小・中学校で教鞭をとられてきた教員にとっても、この理念を習得するための養成システム、過大な負担を負わせることにならないよう配慮した体系的なシステムの構築が必要と考えます。港区の小中一貫教育を支える教員養成システムの必要性について、教育長の考えを伺います。

 以上にて質問を終わります。明快なご答弁をどうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
  〔区長(武井雅昭君)登壇〕

◯区長(武井雅昭君)
 ただいまの自民党議員団を代表しての二島豊司議員のご質問に順次お答えいたします。
 最初に、今後の財政運営についてのお尋ねです。
 まず、区の平成二十五年度当初予算では、特別区民税収入が四年ぶりに増加に転じると見込んでおります。現時点での、区の平成二十四年度特別区民税収入の決算見込みは、対前年度決算比で約十二億円、二・三%の増となり、四年ぶりに増収に転じております。また、平成二十五年度特別区民税の当初課税の現年分につきましては、五月三十一日時点ですが、前年度に対して約二十四億円、四・八%の増となる見込みで、予算計上したとおり、増収傾向にあるものでございます。こうした状況を見ますと、特別区民税収入は堅調に推移しているものと思っております。財政運営方針でお示しいたしました財政フレームは維持できるものと考えております。

 次に、予算編成過程の公開についてのお尋ねです。
 予算編成過程において、広く情報提供していくことは、区の事業に対する区民の皆さんの理解をより深めるとともに、一層の区民参画につながるものと考えます。区では、昨年度から事務事業評価制度を本格実施し、評価結果を予算に確実に反映させるとともに、評価のプロセスと結果を公表することで、予算編成の透明性を高める取り組みを推進しております。各課の予算要求段階から査定を経て、予算案の決定までの過程の公表につきましては、引き続き、より効果的でわかりやすい情報提供の方法等について検討してまいります。

 次に、事務事業評価制度の活用についてのお尋ねです。
 事務事業評価は、各事務事業の必要性、効果性、実施手法の効率性を評価し、最少の経費で最大の効果を上げるという目的で実施するものです。昨年度の本格実施の中で、評価の対象外とすべき範囲の再検討や評価区分をよりわかりやすくするための整理など、改善を要する課題も見えてまいりました。こうしたことから、今年度の事務事業評価では、昨年度は評価の対象外とした、法律に基づく事務事業を評価の対象に加え、対象とする事務事業の範囲を拡大いたします。

 また、評価区分についても、事業の方向性をより明確にするため、昨年度、定義が不明確でありました、再構築という区分を廃止し、評価区分を拡充、継続、縮小及び廃止の四つにするなど、制度改善を図ることといたしました。さらに確実に予算へ反映できるよう、評価結果の確定時期を早めてまいります。今後も、より効果的な事業展開につながるよう、事務事業評価を積極的に活用してまいります。

 次に、先進的な施策の積極展開についてのお尋ねです。
 景気回復の兆しがうかがえる中、私も地域の会合などに多く参加をしておりますが、押しなべて明るい雰囲気に包まれ、期待感を込めて景気好転の機運が高まっていることを感じております。一方で、現在のところ、国の政策効果が区民の生活や中小企業事業者の方々の業績に直接あらわれているとは言えませんが、この機を捉えて将来に向けて区民等の積極的な動き出しを支援することは重要であると考えております。
 平成二十五年度予算編成においては、緊急課題である「区民の生命と財産を守る安全確保の実現に向けた取組」「待機児童解消の実現に向けた取組」「参画と協働により都心の未来を切り拓く取組」を重点施策と位置づけるとともに、百七十の新規・臨時・レベルアップ事業を計上しました。地域経済の活性化を推進するために、インキュベーション事業、スマートフォンを活用した観光情報の発信及びプレミアム付き区内共通商品券の発行支援など、区民生活や中小企業を後押しするための積極的事業も計上しております。今後も、当初予算事業を着実に実施するとともに、先進的な施策について積極果敢に展開してまいります。

 次に、情報政策監の役割についてのお尋ねです。
 今年度から、情報政策を統括する副区長が適切な意思決定ができるよう、専門的な見地から補佐する情報政策監を設置しました。情報政策監の任用にあたっては、公募により応募いたしました二十三名の中から、高度な専門知識を有し、他自治体で情報政策監等の実績のある人材を選定いたしました。情報政策監には、情報システムの適切な整備・運用、システム関連経費の縮減について、技術的な助言・提言を行う役割を期待しております。この助言・提言を踏まえ、区民の誰もが便利だと実感できるICTの特徴を生かした行政サービスの実現を目指してまいります。
 次に、旧赤坂小学校跡地・周辺地区活用事業についてのお尋ねです。
 今回の事業者の公募では、防災機能、いきがいづくり・社会参加支援機能、産業・地域振興機能などの地域貢献機能につきまして、事業者の提案を求めました。その結果、地域の防災拠点となる施設の設置・提供など防災対策の充実、区民等の生涯学習活動への支援、地域の文化・国際交流活動の実施といった具体的な地域貢献が提案されていることに加え、財政状況及び資金計画に問題がなく、経営の安定性が高いことから、当該事業候補者として、国際医療福祉大学を決定いたしました。地域貢献は五十年の長期にわたる取り組みですから、その間、見直しは必要なことと考えております。このため、地域貢献の確実な履行及び安定した大学運営の確認を目的として、毎年一回、地権者と大学との間で開催する、連絡協議会を活用し、町会・商店街等地元関係者の要望などを踏まえながら、適宜、地域貢献の内容等を見直してまいります。

 次に、来年度以降の保育園の定員拡大の展望についてのお尋ねです。
 区は、平成二十五年度当初予算において、待機児童解消の実現に向けた取り組みを重点施策として位置づけ、平成二十六年四月に向けて、七百二十一名の保育定員の拡大を図ることといたしました。本年五月一日現在、保育園の待機児童数は二百十八名となっており、昨年度と比べ四十六名増加しております。こうした状況も踏まえまして、当初予定の保育園、また緊急暫定保育施設の開設時期を前倒しし、平成二十五年八月には私立認可保育園二園の開設、十二月には緊急暫定保育施設を開設することといたしました。さらに、当初計画にはない新たな私立認可保育園の誘致をいたしました。また、緊急暫定保育施設の定員拡大、認可保育園の定員の弾力化により、平成二十六年四月に向けまして、保育施設の定員拡大枠を七百二十一名から九百六名に拡大し、保育園の総定員数を五千三百八十七名といたします。今後、平成二十六年度中には、区立芝公園・本村・西麻布・麻布保育園の改築、私立認可保育園の誘致により、合計二百六十名の定員拡大を図ります。さらに、平成二十七年度には田町駅東口北地区に定員二百名規模の区立認可保育園を新設し、定員拡大を行います。  保育需要については、就学前人口の増加が続いていることに加え、出産後も働き続ける女性が増えていることから、今後ますます増加していくものと考えております。今後とも、保育需要を的確に把握し、早期の待機児童の解消を目指すとともに、在宅で子育てをしている家庭も含め、子育て支援に積極的に取り組んでまいります。

 次に、観光振興についてのお尋ねです。
 まず、地域振興を主眼とした観光振興策についてです。区には、歴史的・文化的施設が数多く存在し、魅力ある観光資源が地域で活用されています。また、地域に根ざした商店街の祭りなどは、地域への愛着を醸成させ、たくさんの人を集め、にぎわいを創出しています。本年四月から支所機能を一層強化し、地域における観光情報の収集・発信を総合支所の業務に位置づけました。地域の観光ボランティアによる観光案内を区内各地で開催し、観光スポットや名産品の案内なども行っております。今後とも、支援部と総合支所が一体となった活動を展開し、多くの旅行者に訪れていただく、地域のにぎわいにつながる観光振興策を積極的に推進してまいります。

 次に、他自治体との連携についてのお尋ねです。
 本年一月、港区と墨田区の連携事業として実施された、二大タワー周辺商店街めぐりでは、地域の商店街に新しい客層の方を含め、多くの来客がありました。東京を訪れる人は、それぞれテーマに応じて観光コースを選択するために、自治体の区域を越えて観光が行われています。観光客を呼び込み、また、回遊性を向上させるためには、歴史・文化資源や水辺空間など、テーマを共有する隣接区と連携し、一体的な観光ゾーンをつくっていくことが重要です。また、竹芝客船ターミナルは、伊豆七島や小笠原諸島へ向かう起点となっており、広域的な観光の起点となっております。今後も、近隣自治体や東京都と協議を進め、一層の連携の強化を図ってまいります。

 次に、まちづくりのルールについてのお尋ねです。
 まず、「まちづくり」の進め方についてです。港区は、首都東京の中心部として都市機能が集積する一方、良好な住宅地や豊かな緑と水辺が存在し、歴史と伝統が息づく魅力ある都市です。区は、このような港区ならではの特性を将来に伝承し、人にやさしい良質な都市空間・居住空間を、皆で維持し、創造し、運営していくことをまちづくりの基本理念に掲げ、品位と風格を備えた、都心にふさわしいめり張りのある戦略的なまちづくりに取り組んでおります。
 まちづくりは、地域の方々が地域特性に応じて、自らの発意と合意に基づき行うことを基本とし、港区まちづくりマスタープランを踏まえ、地区計画などの都市計画諸制度を活用しながら進めてまいります。区は、区民や事業者の皆さんが必要な地域のまちづくりに関する情報や知識をわかりやすく丁寧に伝え、ご理解をいただくことが重要と考えております。まちづくりに際しては、区民や事業者の皆さんのまちづくりへの参画の機会を拡充するよう努めるとともに、各総合支所を中心に、区民や事業者の皆さんとの協働により、安全で安心して快適に暮らし、活動できるようなまちづくりを進めてまいります。

 次に、「港区建築物の高さに関する基本的な方針(素案)」の見直しの方向性についてのお尋ねです。
 港区の地域特性を反映した建築物の高さのルール導入は、港区の将来を見据えた街づくり政策の大きな柱となるものです。区は、高さのルール導入の検討に際し、区民や事業者に対するアンケート調査結果やみなとタウンフォーラムの提言などを踏まえ、学識経験者の意見も聞きながら検討を重ね、本年二月に、港区建築物の高さのルールに関する基本的な方針(素案)を取りまとめました。
 この素案につきましては、二月十一日から三月十二日まで区民意見の募集や区民説明会を行い、多くの意見をいただきました。素案への賛成意見がある中で、区民生活に大きな影響を及ぼすという意見など、見直しを求める意見も多く寄せられました。今後、高さのルールについて区民の皆さんに丁寧に説明しながら意見を聞き、その内容を詳細に分析・検討した上で、素案を修正し、改めて区民意見を募集することといたしました。修正には一定期間を要するため、当初平成二十六年度の運用開始としていました時期を一旦取り下げ、修正素案がまとまった段階で改めて区民の皆さんにお知らせをしてまいります。

 最後に、第三次港区住宅基本計画の改定についてのお尋ねです。
 区は、平成二十一年に第三次港区住宅基本計画を策定し、住宅の量的拡充から質の向上に軸足を移して、生活の質的な豊かさの実現に取り組んでまいりました。現行計画策定後、東日本大震災の発生や社会経済情勢の変化などが生じております。第三次港区住宅基本計画の後期改定にあたりましては、住宅・住環境の現状について調査・検証してまいります。その結果を踏まえ、安全に暮らせるマンション等の住宅ストックの形成や、快適で潤いのある持続可能な住環境の形成などについて検討してまいります。
 よろしくご理解のほどお願いいたします。

 教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。   〔教育長(小池眞喜夫君)登壇〕

◯教育長(小池眞喜夫君)
 ただいまの自民党議員団を代表しての二島豊司議員のご質問に順次お答えいたします。
 最初に、小中一貫教育についてのお尋ねです。
 まず、MINATOカリキュラムについてです。港区初の小中一貫教育校お台場学園が開校して、早くも四年目を迎えました。MINATOカリキュラムは、このお台場学園が研究パイロット校として研究に取り組んだ成果をベースに編成した小中一貫教育カリキュラムです。
 MINATOカリキュラムの特色は、各教科等の系統性を明らかにした上で、児童・生徒の学習のつまずきを克服するための指導の工夫や、繰り返しの指導による基礎・基本の定着など、義務教育九年間の中で、小・中学校全ての教員が責任を持って学力向上を図ることにあります。区内全ての中学校通学区域を単位とした、幼稚園、小・中学校のグループをアカデミーと名づけ、幼児期から続く義務教育九年間を見通した指導のあり方について研究を深めながら、MINATOカリキュラムを用いて教員一人ひとりの授業力向上を目指してまいります。

 最後に、教員養成システムの構築についてのお尋ねです。
 小・中学校の学びの連続性を意識し、さらには幼稚園も含めた十二年間を見通した教育を推進していくためには、全教員がMINATOカリキュラムをもとに、学校の種別を超えた意識改革を図り、これまで以上に幼稚園、小・中学校が同じ方向性を持って取り組んでいくことが重要です。そのため、新規採用や異動してきた教員に対しては、各学校内におけるOJTはもとより、教育委員会主催の初任者研修や十年経験者研修等において、さらには教務主任や研究主任などの職層に応じた研修会を通して、継続的に小中一貫教育の実現に向けた意識改革、理念の共有化を図ってまいります。
 よろしくご理解のほどお願いいたします。
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